前回触れた、『見晴台遺跡第10次発掘調査の記録』の表紙・裏表紙(1)の写真は、40年以上にわたり見慣れてきたものである。荒木実、伊藤禎樹、大参義一、丹羽博各氏の姿が見え、私もいる。
ところで、見学会の写真には、公になっているものがもう一つある(2)。
▲ 「市民見学会風景」『─第20次記念─見晴台遺跡発掘調査のあゆみ』、名古屋市見晴台考古資料館、1981年7月20日、28頁。
見学会は、この日の午前、午後の2回おこなわれており、アングルの異なる二つの写真が、同じときのものか、別のときのものか、これまで特に気にすることはなかった。
今回、あらためて比較した結果、同じときのものであることがわかった。手がかりは、座る男子生徒a・bと立つ白いワンピースの女性cである。男子生徒dも同一人物と思われ、左の写真では立っているが、右の写真ではaの隣で中腰でしゃがんでいる。場所を移動した、あるいはこれから移動するがゆえの、落ち着かない姿勢と思われる(比較写真参照)。
『─第20次記念─見晴台遺跡発掘調査のあゆみ』を編集したのは、同館職員の岡本俊朗であった。彼の視線が、この写真のどこに注目していたか、とてもよくわかるのである。
注