犬塚康博「名古屋市守山区上志段味の古墳群に関する構造的考察」

新しい論文を発表しました。どうぞご覧ください。

要旨 名古屋市守山区上志段味では、古墳時代を通して造墓がおこなわれた。前期の大型前方後円墳1基を含むことから、その地域(ローカリティ)の造墓だけではない、広域(トータリティ)のそれとして世人の感興を惹き、旧藩領程度の「国」を幻想させてきた。上志段味におけるローカリティとトータリティの二項に関する理解は、二系列として、トータリティにローカリティが従属する関係として、トータリティ一辺倒として、従来とらえられてきたが、本論は、一つに内在するローカリティとトータリティの二項の矛盾の運動として、この地域の古墳時代史を構造的にとらえかえすものである。墓域に注目し、方法的に東谷山山峰と東谷山西麓段丘とに分かち、当該造墓集団をしてトータリティ、ローカリティがいかに表象せしめられたかを追った。その結果、ローカリティとトータリティは複雑に盛衰し、トータリティにおいて上志段味が後景化してゆく理路の一端を知り得た(1)

内容
1. はじめに
2. 東谷山山峰の墓域と東谷山西麓段丘の墓域
 1) 尾張戸神社古墳
 2) 白鳥塚古墳
 3) 中社古墳、南社古墳
3. 東谷山西麓段丘の墓域と寺山古墳群
4. 東谷32号遺構
5. 大塚・大手古墳群、勝手塚古墳、羽根古墳
6. おわりに

  1. 犬塚康博「名古屋市守山区上志段味の古墳群に関する構造的考察」千葉大学大学院人文社会科学研究科編『千葉大学人文社会科学研究』第32号、千葉大学大学院人文社会科学研究科、2016年3月30日、47頁。
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