犬塚康博「遺跡と人の交通誌―名古屋市守山区大塚・大久手古墳群」

新しい論文を発表しました。どうぞ、ご覧ください。

要旨 名古屋市守山区上志段味字大塚・字大久手下にある大塚・大久手古墳群を開発する、同市教育委員会の事業計画「歴史の里」が進められている。発掘調査、国史跡追加指定、用地取得を経て、今年度から造成工が始まる。古墳群築造以来形成されてきた、同古墳群と人の交通が新たな段階を迎えるにあたり、その交通誌を整理して交通形態の分析へと進むべく本稿を草した。交通誌は、①「大塚」の時代:前近代、②長谷川佳隆の時代:前近代から近代への移行期、③「守山の古墳」の時代:近代、④後「守山の古墳」の時代:後近代、の四段階に整理できる。このうち、1954年以前の②と現在の④は、近代の希薄または不在において同質であり、権力の威信に直結する事大性において「極めて類縁性の高いことが判明した」。将来の後・後「守山の古墳」の時代に向けた課題として、字大塚・字大久手下の交通誌と上志段味の交通誌の二題への、同古墳群と人の交通の解放を提起した(1)

内容
1. はじめに
2. 「大塚」の時代
3. 長谷川佳隆の時代
 1) 志段味大塚古墳発掘前夜
 2) 志段味大塚古墳発掘の人類学
4. 「守山の古墳」の時代
 1) 形態論と時間論
 2) 「守山の古墳」の時代の考古学
5. 後「守山の古墳」の時代
6. 後・後「守山の古墳」の時代
 1)字大塚・字大久手下の交通誌
 2)上志段味の交通誌
  (1)志段味大塚古墳と永仁の壷
  (2)上志段味古墳研究のナラティブ
  (3)権力の威信への直結
7. おわりに

  1. 犬塚康博「遺跡と人の交通誌―名古屋市守山区大塚・大久手古墳群」千葉大学大学院人文社会科学研究科編『千葉大学人文社会科学研究』第31号、千葉大学大学院人文社会科学研究科、2015年9月30日、48頁。
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