「古代の志段味に関する覚え書き」

28年前に書いた「古代の志段味に関する覚え書き-野田鎮夫氏採集の円面硯4例」のPDFファイルを、「About me」で公開。

冒頭の章で、わたしは次のように書いた。

またこれは、現在的な動機をも促すものである。現在、志段味地区では特定土地区画整理事業を前提とした、埋蔵文化財の発掘調査が実施されているが、この調査はもっぱら行政的な動機で行なわれているものである。学術的な遺跡の評価が必要であることは言うまでもないが、近い将来、この遺跡が遺跡公園として整備・活用される計画のあることを考える時、この評価の作業は調査と併行して今から進められるべきであると考えた。こうした観点から、今私が考え得る限りの事柄を「覚え書き」として整理することを通して、まずは今後の調査に対する予察とすることと、引いては公園のイメージ策定のための検討材料とすることをも期待したものである(1)

この論文は、名古屋市教育委員会の「この遺跡を中心にした史跡(遺跡)公園等の構想について、近いうちに明らかにしてゆきたい(2)」という言明に、正しく呼応している。そして、より原理的に、「天白・元屋敷遺跡の豊かさ」を継承発展し、「天白・元屋敷遺跡の幸せ」を希う作業であった。

  1. 犬塚康博「古代の志段味に関する覚え書き-野田鎮夫氏採集の円面硯4例」『名古屋市博物館研究紀要』第9巻、名古屋市博物館、1986年3月30日、74頁。
  2. 名古屋市見晴台考古資料館編『天白・元屋敷遺跡発掘調査報告書』、名古屋市教育委員会、1985年7月1日、3頁。
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