昭和堂書店

昭和堂書店の書皮
▲ 昭和堂書店の書皮

伊藤禎樹さんが経営されていた、昭和堂書店の書皮にくるまれたこの本は、井上清『「尖閣」列島―釣魚諸島の史的解明』の1972年初版本。私の体験はこの頃に集中している。原初的蓄積哉。

小林義孝さんが書いている。

筆者(小林)が、伊藤氏と邂逅したのは一九七三年、大学入学の直前であった。昭和堂書店の奥の棚にズラリと考古学の報告書が並んでいて少し眩しかったのを覚えている(1)

伊藤さんの書店で、考古学の報告書を買った記憶はない。高校生には高くて手が出なかった、というのが実際で、一般の図書をたまに買うくらいであった。

のちに、大学で同級となる山口卓也が、昭和堂書店で Star Carr の報告書があるのを見たらしく、感心していた。ずっと後、伊藤さんにそれを告げたら、いまも自宅にあるそうで、「なんだったら売ろうか?」といたずらっぽく言われたことがある。売れなかったということ。

ちなみに、私の「電車通り」という歌に出てくる「Star Carr」はこれに由来する。ただし、設定は異なっている。歌はフィクションである。

昭和堂書店のあった昭和ビルのことは、別のブログで触れた。
名古屋市電が走った街 今昔 2005年7月28日
昭和ビル 2005年8月4日
すべてが大人の世界だった。 2012年10月5日
階段下の三角形のトイレのことは書いていないが、不思議な空間だった。

  1. 小林義孝「「市民考古学」の達成」伊藤禎樹『伊勢湾地域古代世界の形成』、株式会社アットワークス、2014年3月20日、386頁。
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