〔ご案内〕講演「上志段味の古墳群を考える」

瀬戸市東谷山山頂遺跡(1983年4月)
▲ 瀬戸市東谷山山頂遺跡(1983年4月)

次の催しでしゃべります。よろしければどうぞ。

見晴台考古資料館友の会セミナ・志段味の自然と歴史に親しむ会10月例会

テーマ 「上志段味の古墳群を考える」

講師 犬塚康博(志段味の自然と歴史に親しむ会世話人)

日時 10月1日(土)午後2時~4時

会場 名古屋市守山生涯学習センター視聴覚室

要旨 名古屋市守山区上志段味では、古墳時代を通して造墓がおこなわれました。前期の大型前方後円墳を含むことから、その地域(ローカリティ)の造墓だけではない、広域(トータリティ)を背景とした造墓がおこなわれていたのではないかとして世の人の関心をひき、旧藩領程度の「国」つまり「尾張」が幻想されてもきました。

上志段味におけるローカリティとトータリティの二つの項目に関しては、これまでに、(1)二系列として、(2)トータリティにローカリティが従属する関係として、(3)トータリティ一辺倒として、理解されてきています。

今回は、一つに内在するローカリティとトータリティの二項の矛盾の運動として、この地域の古墳時代史を構造的にとらえかえしてみました。これに際して、「墓域」に注目して、方法的に東谷山山峰と東谷山西麓段丘とに分かち、それぞれの造墓集団をしてトータリティ、ローカリティがいかに表象せしめられていったかを追跡しています。その結果、ローカリティとトータリティは複雑に盛衰し、トータリティにおいて上志段味が後景化してゆく理路の一端を知ることができたことなどをお話します。

なお、このテーマ「上志段味の古墳群を考える」は、去年10月例会「長谷川佳隆氏と歴史の里」の続編になります。また、瀬戸市東谷山山頂遺跡の後期弥生土器片の紹介をします。

参考 http://shitashimu.shidami.nagoya/images/20161001.pdf

保存

Share

犬塚康博「名古屋市守山区上志段味の古墳群に関する構造的考察」

新しい論文を発表しました。どうぞご覧ください。

要旨 名古屋市守山区上志段味では、古墳時代を通して造墓がおこなわれた。前期の大型前方後円墳1基を含むことから、その地域(ローカリティ)の造墓だけではない、広域(トータリティ)のそれとして世人の感興を惹き、旧藩領程度の「国」を幻想させてきた。上志段味におけるローカリティとトータリティの二項に関する理解は、二系列として、トータリティにローカリティが従属する関係として、トータリティ一辺倒として、従来とらえられてきたが、本論は、一つに内在するローカリティとトータリティの二項の矛盾の運動として、この地域の古墳時代史を構造的にとらえかえすものである。墓域に注目し、方法的に東谷山山峰と東谷山西麓段丘とに分かち、当該造墓集団をしてトータリティ、ローカリティがいかに表象せしめられたかを追った。その結果、ローカリティとトータリティは複雑に盛衰し、トータリティにおいて上志段味が後景化してゆく理路の一端を知り得た(1)

内容
1. はじめに
2. 東谷山山峰の墓域と東谷山西麓段丘の墓域
 1) 尾張戸神社古墳
 2) 白鳥塚古墳
 3) 中社古墳、南社古墳
3. 東谷山西麓段丘の墓域と寺山古墳群
4. 東谷32号遺構
5. 大塚・大手古墳群、勝手塚古墳、羽根古墳
6. おわりに

  1. 犬塚康博「名古屋市守山区上志段味の古墳群に関する構造的考察」千葉大学大学院人文社会科学研究科編『千葉大学人文社会科学研究』第32号、千葉大学大学院人文社会科学研究科、2016年3月30日、47頁。
Share

天白・元屋敷遺跡の中世居館は志段味城である

天白・元屋敷遺跡について考えていることをまとめ、志段味の自然と歴史に親しむ会の会報に寄せるよう、11月7日に世話人の櫻井隆司さんから依頼があった。12月中の刊行予定、12月5日締め切りで、12月1日に脱稿、入稿したが、櫻井さんの了解をいただいたので、先行して本サイトで公開することとした。近日発行の親しむ会会報に掲載される予定である。

天白・元屋敷遺跡考
Consideration of the Tempaku-Motoyashiki Site

【要旨】
本稿では、最近の調査で検出されている中世居館が、これまで不確かだった志段味城である可能性を指摘するなど、天白・元屋敷遺跡を、次の諸段階に整理した。

1) 弥生時代後期後半の内乱受容における、既存の「吉根・神領の交差点」の戦略的要素に対応した東谷山山頂遺跡の形成と、天白・元屋敷遺跡における何らかの活動の形成。

2) 東谷山山頂遺跡の超絶性の定着としての、天白・元屋敷遺跡の祭祀遺跡的性格の形成と、東谷山の古墳群形成。

3) 天白・元屋敷遺跡における、寺院、官衙など政治・経済・文化的中心性の形成。

4) 中世の居館─志段味城の形成。

5) 近世・近代・現代における特殊性の後景化、普通性の前景化。(この項未定。)

Share