2014年11月

2014年11月30日

中志段味・天白元屋敷遺跡について(回答)

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見出しの件につき、名古屋市長河村たかしを発信者とする文書を11月25日に受理したので、ここに公開する。評価はのちほど。

文書番号にあるとおり、住宅都市局で起案した文書。市長決裁がおこなわれ、原課担当者が秘書室にて市長印を押捺。

2014年11月26日

「大衆の考古学」42年を記念する

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42年前のきょう、「大衆の考古学」が実践的かつ理論的に登場した。考古学運動、考古学闘争におけるその世界史的意義については、追って明らかにしたい。

「大衆の考古学」の第一文献は次のとおり。これまで著者を明示してこなかったが、ご本人に了解いただいたので、以後明記する。

斎藤宏「見晴台発掘と僕達の考古学―「職人の考古学」←→「趣味の考古学」を止揚し、「大衆の考古学」を創造しよう!―」伊藤禎樹・犬塚康博・岡本俊朗・小原博樹・斎藤宏・桜井隆司・村越博茂・安田利之『見晴台と名考会に関する問題提起-その2』、1972年11月26日、4-13頁。

2014年11月23日

43年前の訃報

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▲ 『中日新聞』第10594号、1971年11月23日、朝刊・8面。

2014年11月20日

湿ケ遺跡破壊!

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以下、急ぎ引用転載。詳しくはあらためて。

2014年11月20日 20時50分

新たな無届け工事が判明 名古屋・守山区の遺跡で

名古屋市守山区の天白元屋敷遺跡内で市の外郭団体「名古屋まちづくり公社」が無届けで土地を造成し、大量の土器を破壊した問題で、古墳―室町時代の土器や陶器が出土している近くの湿ケ(しけ)遺跡(同区中志段味)内でも、無届けで工事をしていたことが新たに分かった。公社が20日に会見し、謝罪した。

公社は、土地区画整理事業を行っている湿ケ遺跡内で2007年以降、排水路や道路整備のために計8カ所で地面を1~2メートルほど掘削。その際、文化財保護法で義務付けられている市教委への事前の届け出を怠っていた。

担当者が届け出が不要と思い込んだことなどが原因。既に現場のほとんどは道路舗装などを終えており、文化財の有無や破壊されたかどうかも確認できない。

無届け工事をめぐっては、天白元屋敷遺跡の不法造成が10月に本紙の報道で発覚。公社が志段味地区全体で過去の状況を調べたところ、今回の無届け工事が判明した。

(中日新聞)

それにしても、上志段味の古墳調査に往き来した名古屋市教育委員会の職員は、県道志段味田代町線を通行しなかったのだろうか。それならば、7年間であろうと、何年であろうと、気づかないことはあるかもしれない。

しかし通っていたのなら、遺跡範囲を通過しながら、あちこちでおこなわれる工事に気づかなかったのだろうか。目先の職務は果たしても、文化財保護法の精神から来した物質であるところのおのれの根拠に、一度として立ち返ることはなかったのか。

破壊事件の根源は名古屋市教育委員会にあり、と言わざるを得ない。文化財保護後進都市名古屋。


▲ 「名古屋市遺跡分布図(守山区)」、名古屋市教育委員会、1985年3月、表面(部分) 〔1-65下寺林古墳(寺林2号墳)、1-66上寺林古墳(寺林1号墳)、1-67志段味城跡、1-68天白元屋敷遺跡、1-69湿ケ遺跡〕

2014年11月16日

考古学とSTAP問題

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仲正昌樹氏は書いている。

データねつ造は基本的に、理系の、多くの金と人材を投与して実験や調査を行う必要のある分野で起こる問題である。哲学や文学では、ねつ造するような価値のある資料などほとんどない。歴史学など資料を重視する分野では、新しい史料を発見したふりをすることに多少のメリットはあるかもしれないが、それほど費用対効果があるわけではない(1)

考古学に即してみると「ふり」は多様で、その極相が前期旧石器問題である。皇族お手掘りの土器を、事前に埋めておくというのも知られている。天皇制を支えるうえでの「多少のメリット」はあったのだろう。かつては展示されていたはずのこの土器のことを、当該サイトミュージアムの解説ボランティアにたずねたところ、「あれは問題がありまして・・・」と濁すのに接することがあった。「大日本帝国における「メリット」/戦後日本におけるデメリット」という、被抑圧-抑圧の埋め込まれた認識を知ったのである。

コピペの可能性については文系の諸分野でも当然あり、実際かなり横行しているが、博士論文になると事情はいささか異なる。実験の結果を報告することに主眼が置かれる理系の論文と違って、哲学・思想、文学、歴史等の論文は、考え方の新しさをアピールすることに重点が置かれる。先行研究を踏まえたうえで、自分の考え方の独自性を示さなければならない。先行研究の要約と自分の着眼点、方法を示す序論的な部分は--まともな大学のまともな院生という前提の下での話だが--念入りに書き上げないといけない。指導教員がまともであれば、そこをちゃんと見る(2)

仲正氏は、文系と理系の違いを説く。これにしたがえば、考古学は理系と文系の境界領域にある。考古学の方法論は、層位学と形態学とにあり、前者は地質・古生物学、後者は広く自然科学の分類学に出自をもち、理系である。これらの方法を経ておこなわれる叙述が、文系となる。考古学には、「実験の結果を報告することに主眼が置かれる理系」と、「考え方の新しさをアピールすることに重点が置かれる」文系とがあり、すなわち、両者の間にヒアタスがあることを意味する。

それは、『志段味古墳群(3)』を見れば明らかである。発掘調査報告と尾張氏とを接合する論理が、そこにはない(4)。あるのは、ヒアタスである。そして、「考え方の新しさをアピールすることに重点が置かれる」がゆえに、ヒアタスの一方、結論の側にある「尾張氏」が自立してゆく。無論、これが「考え方の新しさ」かどうかと問えば、否である。現実は、言ったもの勝ち、声の大きいもの勝ち、背景とする権力の大きいもの(=行政権力、国家権力)勝ち、すなわち政治であることのみがあきらかなのだ。

では、ヒアタスのもう一方の側、結果にいたる過程の側にある発掘調査とは何か。層位学を用いるそれを、ここで「実験」と定義してみよう。すると報告書の大半は、実験の記録となる。遺跡の臨床実験の記録となる。当事者に、その自覚や問題意識があるかどうか、ここでは関係ない。

想起するのは、STAP細胞問題で喧伝された再現性である。考古学の発掘調査には、先験的に再現性がない。発掘は破壊であるというまことしやかなアリバイ的免罪符的発話が明証するように、遺構-遺跡を二度と再現できないのが考古学の発掘である。そこでおこなわれる記録採取は、発掘調査における過誤の存否、程度を検証することができない。再現性がないからである。その点、遺物にかかわる形態学は、遺物が存在する限り再現性が存在する。分類-型式論というパズルが、自慰的であろうとなかろうと永続する理由はここにある。しかし、破壊を前提とした発掘調査でも学術調査でも、遺構-遺跡は、埋土・遺物が除去された空虚という結果が強いられる。

では、再現性のない発掘調査報告書は、使いものになるのか。報告書を信頼するか否かは、もはや信心の範疇にあるのではないか。埋蔵文化財調査センターができた1980年代、その報告書はやがて使い物にならなくなるだろう、と予感することがあった。人にそう告げたこともある。直接には、土層断面図が、隣接する発掘区でつながらないという話題に接してのことだったが、それは普く及ぶに違いないと直観した。そしてその30数年後、埋蔵文化財調査センターではなかったが、否、事実上直営の埋文センターが著した『志段味古墳群』の検討(5)で、期せずしてその予感を追認することになったのである。

STAP問題は、専門内外の批判によって白日の下にさらけだされた。考古学の発掘調査報告の構造的問題が明白になる日は、果たして来るのだろうか。かつて市民の学問と言われた考古学は、いまや職業研究者が専横するところとなり、媒体、市民はこれに追随。批判の契機は失われてしまった。職業研究者、追随媒体、追随市民を循環する自家中毒が、報告書のドグマを再生産しているのである。

  1. 「仲正昌樹(第7回) – 月刊極北」http://meigetu.net/?p=843、(2014年5月6日)。
  2. 同文書、(2014年5月6日)。
  3. 名古屋市見晴台考古資料館編『志段味古墳群〔本文編〕』(名古屋市文化財調査報告79、埋蔵文化財調査報告書62)、名古屋市教育委員会、2011年、同『志段味古墳群〔図版編〕』(名古屋市文化財調査報告79、埋蔵文化財調査報告書62)、名古屋市教育委員会、2011年。
  4. 犬塚康博「経験と歴史の断絶―『志段味古墳群』の検討」『千葉大学人文社会科学研究』第28号、千葉大学大学院人文社会科学研究科、2014年3月30日、228-236頁、を参照されたい。
  5. 同論文、228-236頁。
2014年11月9日

「中志段味・天白元屋敷遺跡破壊事件について(質問)」提出

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11月7日、名古屋市長に宛てて「中志段味・天白元屋敷遺跡破壊事件について(質問)」を提出。

2014年11月2日

天白・元屋敷遺跡の幸せ

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▲ 中志段味、吉根で配布された名古屋市教育委員会のチラシ

3年前の天白・元屋敷遺跡の破壊について、10月20日に中日新聞朝刊が報道した。CBC、NHK、メ~テレ、毎日新聞、東海テレビ、朝日新聞、テレビ朝日等がそれに続き、インターネット上のさまざまな媒体でも言及されていった。

2010年から2011年にかけておこなわれた、名古屋まちづくり公社と名古屋市中志段味特定土地区画整理組合による天白・元屋敷遺跡の大規模破壊は、埋蔵文化財の取り扱いが、単なる事務処理になったことを示した。役所と関連機関の中で、熟読されることなく書類にはんこが押され、右から左へと流れてゆく、あのありふれた光景が浮かぶ。当事者は「手続きミス」「勘違い」としか言わないが、能う限りの責任回避、自己保身の弁なのだろう。国民に開かれた文化財に関して不具不能の者たち──文字通り非国民──、国民に開かれない内向きの者たちの弁だとすればうなずけないこともない。

30年前、天白・元屋敷遺跡はどのように扱われていたか──。手許にある当時の配布物5点(1)を手がかりに見てみよう。区画整理組合が設立されていないころ、遺跡の調査は名古屋市教育委員会が直営、国庫補助金等公費でおこなっていた。1979年に発見されたばかりの、この遺跡の性格と範囲を確認するために、小規模な発掘区を設け、数次にわたって実施していた。その際には見学会をおこない、出土遺物の展示もした。当時はあたりまえの光景だが、いまからすれば、とてもていねいに映る。天白・元屋敷遺跡は、まだ幸せだった。

名古屋市教育委員会は、なぜこの遺跡の範囲や実態を確認していたのか。「現在検討が進められている区画整理事業とは、直接の関係はありません(2)」として、間接の関係を暗示していた。すなわち、区画整理で破壊される遺跡の調査費用を、将来設立される区画整理組合に負担させるために必要な基礎データを集めていたのである。

このころは、調査に関するチラシがよく配布されていた。その文面では、「地元の皆様(3)」「皆様方(4)」「土地所有者のみなさん(5)」「周辺にお住まいの方々をはじめ、皆様(6)」すなわち近未来の区画整理組合組合員、発掘調査費用の負担者に対し、慇懃な呼びかけがおこなわれていたが、これはすべて、発掘調査費用を負担する原因者へのお作法、あるいはお便法だったのだ。

1995年12月に、名古屋市中志段味特定土地区画整理組合の設立認可が公告された。それ以降の詳細を知らないが、大規模破壊後付け焼き刃の「遺物回収作業」のときも、現在の発掘調査においても、その成果は地元および市民に公開されていない。かつては、報告書を刊行し、なおかつ「スライド、出土品等を使用(7)」する報告会もおこなっていた。事業者が民間すなわち区画整理組合だから、報告会を開催できないということはない。名古屋市吉根特定土地区画整理組合は、名古屋市教育委員会とともに現地説明会を開催していた(8)。中志段味でやれない理由はない。やらないだけである。それに対して教育委員会は、なぜ指導しない?遺跡調査の金を出させるまでは地元に対しベタベタに媚びて、金を出させたらもうそれっきりなのか?そして自分たちは、金目目当ての墓暴き、墓泥棒さながら古墳を掘り散らかし弄んでのお楽しみか?自分たちが、「生き残り」とか称してプレイヤーになってしまっては、民間に対して指導できるはずもない。

役所と関係機関における、単なる事務手続きとして埋蔵文化財が取り扱われ、ミスがあってもスルーされて、天白・元屋敷遺跡は大規模破壊された。破壊の事後処理も、始末書と「遺物回収作業」という内向きに終始した。役所と関係機関の外部には、3年間何も知らされなかった。わたくしを含めたごくごく少数の人間が、自力でその事実を知り、外に対して発信していた以外は──。

1980年代後半のバブル景気のころ、発掘調査は工期の一部に定着し、考古学とは別の相貌を得ていった。そしていま、発掘調査は単なる事務手続きと化した。不幸せな天白・元屋敷遺跡が、そう教えている。

  1. 「遺跡発掘調査概要報告会開催のお知らせ」、名古屋市教育委員会、(1985年4月13日配布)、「発掘調査開始のお知らせ」、名古屋市教育委員会、(1985年12月配布)、「─遺跡発掘調査概要報告会のお知らせ─」、名古屋市教育委員会、(1986年6月1日までに配布)、「天白・元屋敷遺跡第3次発掘調査開始のお知らせ」、名古屋市教育委員会。1995年、「現地説明会開催のお知らせ」、名古屋市教育委員会・名古屋市吉根特定土地区画整理組合、(1985年10月22日配布)。PDFファイル参照。
  2. 「発掘調査開始のお知らせ」。
  3. 「遺跡発掘調査概要報告会開催のお知らせ。
  4. 同チラシ。
  5. 「発掘調査開始のお知らせ」。
  6. 「天白・元屋敷遺跡第3次発掘調査開始のお知らせ」。
  7. 「─遺跡発掘調査概要報告会のお知らせ─」。
  8. 「現地説明会開催のお知らせ」。
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